こんにちは。SREチームの吉澤です。
アンドパッドは、8/3(土)〜4(日)に開催されたSRE NEXT 2024にゴールドスポンサーとして協賛し、企業ブースとスポンサーLTに参加させていただきました!
スポンサーLTでは、SREチームリーダーの角井さんが「アンドパッドのマルチプロダクト戦略を支えるSRE」というタイトルで発表しました。このLTについては、昨日公開された1本目のイベントレポートをぜひご覧ください。
2本目のイベントレポート(この記事)では、アンドパッドブースの様子と、来場者アンケートの集計結果をご紹介します。アンドパッドブースの来場者という範囲に限定されてしまいますが、SRE NEXT 2024に参加したエンジニアがいまオススメするソフトウェアやサービスの傾向が、集計結果から見えてきました。
- アンドパッドブースの様子
- アンケート項目
- アンドパッドの認知度
- 職種とその経験年数
- 普段利用しているクラウドサービスまたはオンプレミス
- お勧めしたいソフトウェアやサービス
- SRE NEXT 2024全体を通しての感想
- We are hiring!
アンドパッドブースの様子
アンドパッドブースでは、採用広報のメンバーに加えて常にSREが1〜2名いる体制で、弊社の事業や開発組織、そしてSREチームについてご紹介しました。
また、簡単なアンケートにお答えいただいた方を対象に、ノベルティが当たるくじ引きをご提供しました。アンドパッドは建築・建設業に特化したクラウドサービス「ANDPAD」を提供している、ということで、ノベルティもそれにちなんだ工具箱やメジャー、軍手といったものをご用意しました!
このあたり採用広報の広瀬さんたちが日々考えてくれて、ラインナップも頻繁に見直しされているおかげで、アンケートに喜んで答えてくれる方も多いなあと感じています。感謝しきりです。
アンケート項目
今回は私の方で以下のアンケート項目を作成しました。
- Q1. アンドパッドのことはご存知でしたか?
- Q2. あなたの職種を教えてください
- Q3. その職種の経験年数はどれくらいですか?
- Q4. 普段利用しているクラウドサービスはどちらですか?また、オンプレミスは利用していますか?
- Q5. ここ1年で新たに導入したソフトウェアやサービスのうち、他の人にお勧めしたいものがあれば教えてください(任意)
Q1はアンドパッドの認知度に関する質問で、これはどのイベントでも継続的に質問させていただいています。
Q2〜4は、SRE NEXTにはどういう人が来ているのか知りたい、でも項目はなるべく少なくしてアンケート回答の負担を減らしたい、というバランスを考えて最低限と思えるものを入れました。
そしてQ5が今回特に聞きたかった質問です。個人的にSRE NEXTは勉強熱心な人が集まるイベントと思っているので、そういう人たちから新たな刺激を得たい!自分の知らないことを教えてほしい!という気持ちで入れました。
Q5はオープンクエスチョンで、即答は難しい質問だと思ったので任意回答にしたのですが、思ったより多くの方に回答いただけて嬉しかったです。ただ、答えづらそうにしていた方も多かったので、私が応対したときは時々「厳密に1年以内でなくてもいいですよ」とか「気になっている程度のものでもいいですよ」とか条件を緩めてしまいました。そのため、厳密なシェアの調査とは捉えないよう、ご注意ください。
この集計結果のなかにいままで知らなかったソフトウェアやサービスがあって、「面白そうだからちょっと見てみよう」と思ってもらえたら嬉しいです。
アンドパッドの認知度
アンケート回答者は、Day 1〜2合わせて177名でした。大変たくさんの皆様にご回答いただき、誠にありがとうございました!
2023/12/11〜12に開催されたCloudNative Days Tokyo 2023(CNDT 2023)でも同様のアンケートを取っていました。CNDT 2023のアンケート結果と比較すると、
- アンドパッドを知らなかった: 41.9% から 24.3% に減少
- 社名は知っていたが、プロダクトは知らなかった: 25.8% から 23.2% に減少
となっており、認知度が上がっていることがわかりました。CNDT以降のブログ記事や、SRE Loungeでの発信が寄与したのかも!と励みになる結果でした。
職種とその経験年数
次に、アンケート回答者の属性を見てみましょう。
「SRE NEXT」というイベントだけあって、SRE(45.8%)が約半数を占めていたのはさすがでした。
ちなみに、CloudNative Days Tokyo 2023(CNDT 2023)のアンドパッドブースで取ったアンケートでは、SREが27.4%、インフラエンジニアが22.6%でした。ただ、SREとインフラエンジニアを合わせた割合はSRE NEXT 2024が54.8%、CNDT 2023が50.0%で、ほとんど変わりませんでした。何故でしょう?ちょっと面白いですね。
職種ごとの経験年数は、以下の表のようになりました。
職種 | 1年未満 | 1〜2年 | 3〜4年 | 5年以上 | 10年以上 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|
SRE (Site Reliability Engineer) | 7 | 15 | 28 | 25 | 6 | 81 |
ソフトウェア開発者(バックエンド) | 3 | 6 | 7 | 6 | 3 | 25 |
インフラエンジニア | 0 | 2 | 5 | 9 | 0 | 16 |
ソフトウェア開発者(フロントエンド) | 1 | 4 | 2 | 3 | 0 | 10 |
EM (Engineering Manager) | 0 | 3 | 2 | 5 | 0 | 10 |
人事・広報・技術広報 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 | 5 |
PM (Project Manager) | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 4 |
プラットフォームエンジニア | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 |
セキュリティエンジニア | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 |
その他 | 3 | 3 | 4 | 6 | 4 | 20 |
総計 | 17 | 38 | 49 | 57 | 16 | 177 |
SREのうち、経験年数が3年以上の割合は72.8%で、SRE NEXTが初めて開催された2020年頃と比べるとベテランが増えてきた印象があります。その分、SRE NEXTで求められるものも、入門的なものから発展的なものに移っているのかもしれません。
ちなみに、SREを除くと、いまの職種の経験年数が3年以上の割合は65.6%でした。SRE向けイベントで調査したためにSREのベテラン率が高くなっている、という可能性を考慮しても、他の職種と変わらないくらいに「SRE」という職種はすっかり定着したと言えそうです。
また、フロントエンドエンジニアやEMの割合が意外と高い、と感じました。SREについての話は、チームトポロジーのような開発組織の話に繋がることが多いので、開発組織に関する興味から参加されていたのでしょうか?機会があれば参加の動機を伺ってみたいです。
普段利用しているクラウドサービスまたはオンプレミス
SRE NEXTの来場者は、やはりクラウドサービスを利用しているケースが多いのだろうか?と思い、普段利用されているクラウドサービスを伺いました。また、オンプレミスという回答も用意しました。
グローバルの市場シェアはAWSに次いでMicrosoft Azureが躍進しているというニュース(参考:Publickeyの記事)もありますが、このアンケートではMicrosoft AzureよりもGoogle Cloudのほうが多いという結果になりました。また、オンプレミスも27名(全体の15.3%)が選択していました。
このグラフには載っていない情報ですが、2つ以上の項目(クラウドサービスまたはオンプレミス)を選択した方は84名で、全体の47.5%でした。参加者の約半数はマルチクラウド環境を利用している、と言えそうです。ちなみに、アンドパッドもAWSとGoogle Cloudを利用しています。
お勧めしたいソフトウェアやサービス
質問の対象が「ソフトウェアやサービス」という漠然としたものだったため、回答はSaaSからプログラミング言語まで多岐に渡り、面白かったです。
回答の傾向をつかみやすくするために、私の判断で回答をカテゴリ分けし、そのカテゴリごとに集計したものを以下に示します。
各カテゴリに含まれるソフトウェアやサービスは、以下の通りです。カッコ内は投票数です。見やすさのために、1票のものは投票数を省略しました。
カテゴリ | お勧めしたいソフトウェアやサービス |
---|---|
モニタリング・オブザーバビリティ | Datadog (9), OpenTelemetry (5), New Relic (4), Grafana, Grafana Mimir, Honeycomb, Sentry |
セキュリティ | Snyk (4), GitHub Advanced Security (2), AWS WAF, Cloudbase, HashiCorp Vault, Sysdig |
開発 | Bytebase, HCP Cloud, Pyroscope, SonarCloud, Telepresence, Terraform Cloud |
CI/CD | ArgoCD (3), AWS CodeDeploy, GitHub Actions, PipeCD |
AIによる開発支援 | GitHub Copilot (2), CodeRabbit, Keploy, PR-Agent |
インシデント対応 | PagerDuty (2), Waroom |
データベース | Aurora Serverless v2, TiDB |
その他 | Connect, Findy Team+, Futhark, Gamma, golang, Karpenter, Linear, Notion, Prophet, Slack Workflow, Snowflake, Spotインスタンス |
モニタリング・オブザーバビリティ
モニタリングとオブザーバビリティは区分が難しい(例えばDatadogとか)ので、1つのカテゴリにまとめました。
カテゴリ別では、このモニタリング・オブザーバビリティの割合が31.3%と最も高くなりました。SRE NEXT 2024のあちこちで見た信頼性の階層の図でも "Monitoring" が一番下の土台にあることを考えると、納得の結果です。
個別の回答では、スポンサーとしてブース展示されていたDatadogが最も多くなりました。Datadogは多機能なので、どの機能が特に気に入っているかまで深堀りできればよかったですね。
個人的には、Honeycombのいい評判をよく聞くので、今回ここでもお勧めされていて改めて興味が湧きました。
セキュリティ
セキュリティに関するソフトウェアやサービスの割合も高く、2位の14.9%でした。特に、SnykやSysdigのような、コンテナセキュリティ製品への注目を感じました。
Cloudbaseは、AWS Security HubやShisho CloudのようなCloud Security Posture Management(CSPM)に属するサービスのようです。SRE NEXT 2024では、懇親会のビールスポンサーとして注目を集めていました。アンドパッドではAWS Security Hubを使っていて、便利なのですがいろいろ苦労させられてもいる(参考:過去のブログ記事)ので、ちょっと興味あります。
開発
「開発」と「AIによる開発支援」と「その他」も分類が難しかったです……ご容赦ください。ソフトウェア開発に直結しそうなもので、AIを全面に押し出してなさそうなものを、こちらのカテゴリに含めました。
Bytebaseは、SQLのPlan、Review、Deployを完結できるツールです。先日のSRE Lounge #17でもLayerXの多田さんが紹介されていて、注目を集めていました(プレゼン資料、ブログ記事)。
Pyroscope(Grafana Pyroscope)やSonarCloudについては、私は初耳でした。PyroscopeはGrafanaと組み合わせて使用できるプロファイラー、SonarCloudはCI/CDワークフロー上で動作するクラウドベースの静的コード解析ツールのようです。
CI/CD
CI/CDには、メジャーなものが挙がっていました。
サイバーエージェントが開発したPipeCDの名前も挙がっていました(参考:サイバーエージェントのプロダクトリリースを支える「PipeCD」が、世界に通じるOSSになるまで。)。サイバーエージェントも、スポンサーとしてブース展示されていました。
AIによる開発支援
CodeRabbitとPR-Agentは、いずれもAIによって、プルリクエストのレビューや改善提案をしてくれるツールのようです。
Keployは、eBPFを利用して取得できるデータから、テストを自動生成するツールのようです。少し調べた限りでは、eBPFを使った自動テストツール「Keploy」がすごいといった記事が見つかりました。
インシデント対応
Waroomはアンドパッドの隣でブース展示されており、常に盛況でした。ちなみにWaroomのTopotalのブースとは、CNDT 2023でもお隣り同士でした。ご縁がありますね。
私もブース対応の合間にお邪魔させていただいて、現在開発中の障害対策訓練の機能を見せていただきました。この機能は、Markdownで書かれたシナリオからSlack上にチャンネルを作成し、そのチャンネル上のbotとやり取りすることで、インシデント対応を疑似体験できるというものでした。将来的にはポストモーテムからシナリオを作ることも検討されているとのことで、ますます実践的な訓練を期待できそうです。
データベース
Aurora Serverless v2と回答された方には私がブース対応したので、理由もお伺いしました。その方によると、まずAurora Serverless v2を使ってしばらく動かしてみて、傾向が見えてきたら通常のAuroraでRIを購入することで、最初のプロビジョニングが楽になった、とのことでした。
その他
「その他」の中にもAIを活用したサービスがいくつかあり、スライド作成のGammaや、AIデータクラウドのSnowflakeが気になりました。
SRE NEXT 2024全体を通しての感想
最後に、SRE NEXT 2024全体を通しての感想を少し書いて終わりにします。
SRE NEXT 2024は、2020年に開催された初回から数えて4回目でした。私は、過去3回のSRE NEXTはコアスタッフとして参加していて、いち参加者としての参加は今回が初めてでした。前回と比べていろいろ新しい取り組みがあり、かつ今まで以上にスムーズにイベントが進行しており、とても感心しましたし、楽しく過ごせました。
スポンサーブースでは、集客のためにスタンプラリーは前回から取り入れられていたのですが、スタンプをきっかけに来た方と会話が弾む場面も多々あり、これはやっぱり必須の施策だと実感しました。
また、今回はうちわの裏面がスタンプラリーの台紙になっていたため、普通のシートよりもスタンプラリーの認知が上がったのではないでしょうか。ブースは人が多くて、クーラーが動いていても暑い時間帯があったので、スポンサーブースの担当者としてもうちわはありがたかったです。
私は2日ともほとんどブースに居て、セッションはKeynoteの一部しか聞けませんでした。ただ、SRE NEXTはスポンサーの競争率も高いからか、どのブースも展示に力を入れており、休憩時間にブースを巡ったり、遠方から来た知人と話すだけでも十分楽しめました。このような貴重なコミュニケーションの場を提供してくださったスタッフの皆様に感謝します。
閉会式では、早速次回のSRE NEXT 2025の日程と会場が発表されていました(準備が着々と進んでいて凄い!)。今回のSRE NEXT 2024では残念ながらプロポーザル不採択になってしまいましたが、次回はアンドパッドから誰かセッションで登壇できるよう、自分も頑張りますし、SREチーム全体も盛り上げていきたいと思います!
#srenext
— SRE NEXT (@srenext) August 4, 2024
SRE NEXT 2025 開催決定! pic.twitter.com/KjVifKbUhK
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