アンドパッド カンファレンススポンサーの歴史と教訓 ~巨人の肩の上に立つ

こんにちは id:sezemi です。 この記事は ANDPAD Advent Calendar 2025 の 9 日目の記事です。

前回の記事でも触れましたが、 フットボールネーション 20 巻 がいよいよ 12/26 に発売です。 ちなみに、ふりかえりは 2 周目に入っています。

さて、先月 11/18 に私も所属している DevRel Guild という技術広報コミュニティでカンファレンススポンサーをテーマとした Meetup 、 DevRel Guild Meetup #5 が開催されました。 そこでプロポーザルを出したところ、残念無念、不採択だったので、テックブログでお披露目します。

なお、文中で紹介する過去のアンドパッドの記事には "技術広報" という職種名が入っていることがあります。 現在は "採用広報" に変更していますので、適宜、読み替えてご覧ください。

RubyKaigi 2019 の Ruby スポンサーからスタート

アンドパッドでは今も変わらず採用広報の主軸に "カンファレンススポンサー" を置いています。 これは前出の DevRel Guild の主宰、 かわまた さんの著書、 「技術広報の教科書」(技術評論社刊) でも第 5 章に "カンファレンススポンサーは認知獲得の最大の武器" と取り上げている通りの理由からです。

アンドパッドにおけるカンファレンススポンサーの起源を辿ると、 2019 年 4 月に福岡で開催された RubyKaigi 2019 で Ruby スポンサーになったことでした。

なぜ、 RubyKaigi だったのか、なぜ Ruby スポンサーだったのか

当時のことを知る開発本部 VP の山下に聞くと、それまでアンドパッド (旧社名は Oct ) はリファラル中心で採用を進めてきたこともあってか、エンジニア界隈に知られていなかったとのこと。 ただし、採用広報ができるほど、まだ体制も資金も十分ではありませんでした。

それが RubyKaigi 2019 の直前に 資金調達ができる ことになったため、国内では最大級のカンファレンス、 RubyKaigi に出展し、かつ資金調達で注目されるタイミングで、インパクトを最大化するため Ruby スポンサー (スポンサーベネフィットにスポンサーセッションがあった) で勝負したとのことでした。

この初めての認知が奏効し、スポンサーセッションでアンドパッドを知ったあと、しばらくして ぷぽ さんが入社 *1 するなど採用効果があったほか、同年 8 月には RubyKaigi のチーフオーガナイザーの 松田明 さんが技術顧問に就任するなど開発体制の強化にも繋がりました。

ちなみに、実はこの ANDPAD Tech Blog も RubyKaigi 2019 のレポートから始まりました。

tech.andpad.co.jp

まさしく、カンファレンススポンサーとともにアンドパッドの採用広報が始まったのでした。

ただ、当時はマーケティング部にサポートしてもらっていたので、ブログ記事のブース写真にもある通り、テーブルクロスが無かったり、まだ不慣れなところも伺えますね。

「教訓 1: やはり "カンファレンススポンサーは認知獲得の最大の武器"

2021 から Ruby 以外にもカンファレンススポンサーを拡大し、専任の採用広報が着任

コロナ禍中の 2020 を経て、 2021 からは RubyKaigi に加え、 Kaigi on Rails と Ruby 方面を増やしただけでなく、アンドパッドの技術スタックに合わせて iOSDC / DroidKaigi / Go Conference と分野を広げました。 2021 は引き続きオンラインだったものの、参加者向けのノベルティが配送されるようになり、今ではすっかりアンドパッドのお馴染みのノベルティとなった、軍手シリーズも初登場しています。

一方で、ここで課題になったのが、スポンサーの企画・設計~運営でした。 ANDPAD の成長とともに採用需要もぐんぐん伸び、それに応じて採用広報の需要もうなぎのぼりで、当時はオンライン中心ということもあってイベント開催が大幅に増加していました。 そういったイベントに加え、スポンサー企画や設計は当時の開発本部のマネージャとマーケティング部が兼任で行う体制でしたが、ノベルティの稟議が滞るなど、さすがに兼任の限界が顕在化していました。

そこで開発本部の専任の採用広報として、私の前任 アルマ さんが着任します。 着任早々より、数々のイベント企画・開催に加え、 Podcast の開設など、さらに広報のメディアを広げ、数多くのコンテンツが生まれました。 そして、広報体制が整ったところで、課題となってきたのが採用広報の効果検証でした。

「教訓 2: プロダクトの成長が続く限り、兼務では限界を迎えるので、問題が顕在化する前に採用広報専任を配置

2022 ~ 2023 ブース出展が加速。 認知拡大 !

2022 になると、いよいよオフライン開催が増え、ブース出展が加速しました。 従来の RubyKaigi / Kaigi on Rails / iOSDC / DroidKaigi に加え、 RubyWorld Conference 、惜しくも抽選から外れましたが、 Vue Fes Japan とカンファレンススポンサーを拡大しました。 そして、運営体制も初めて開発本部の採用広報が主体となってブース出展を進めることになりました。 ただ、この体制の移行がスムーズに進んだ訳ではなく、文化の違いに苦労したことが、 各社の技術広報が明かす「RubyKaigiスポンサーの裏話」 というイベントでの アルマさんの発表から伺えます。

一方で、課題だった採用広報の効果検証は糸口が見つかり、カンファレンススポンサーやイベント開催によってスカウト・紹介などの "応募数が増える" ということがわかりました。 この検証結果に至るまで、応募の入口調査をはじめ、どこに変数があるのか、 KPI にすべきは何か、というのを探った仮説 → 検証資料が様々にあり、粘って粘って試行錯誤したことが伺えます。 *2

そして得られた知見がアルマさんのこの記事に集約されています。 ここで提示されたキャンディデートジャーニーマップは今も引き続き、採用広報戦略の参考にしています。

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続く 2023 もカンファレンススポンサーへの拡大は続き、 SRE NEXT / CloudNative Days と SRE 方面へのスポンサーも増え、認知・興味の「型」が決まったところで、アルマさんが退職となり、私にバトンタッチとなりました。

「教訓 3: "採用広報の効果検証" はすぐにはわからないが、粘り強く試行錯誤すること。 そこで見つけた答えが自信に満ちた道筋になる

2024 ~ 2025 応募に繋げる試行錯誤

2024 では新たに try! Swift Tokyo のスポンサーを追加し、スポンサーしていたもののブース抽選に外れていた SRE NEXT / Kaigi on Rails でブース出展ができたほか、大阪 Ruby 会議04 に協賛し、初めて地域 Ruby 会議にもスポンサーするようになりました。 2024 は合計すると 11 のカンファレンススポンサーを務めることができました。

ここで課題になっていたのが、キャンディデートジャーニーマップでいう認知・興味の次のフェーズ "応募" です。 カンファレンスなどの広報活動から "応募" に繋げるためにはどうするとよいのか、興味・関心層を蓄積するためにブースの訴求を変えてみたり、興味・関心層と長期で関係を構築する方法を探ったり、プライベートなイベントを企画してみたり、ここでも試行錯誤が続きました。

あまりに興味・関心層の蓄積にこだわりすぎたために、訴求ポイントを間違える、ということもやってしまったのが 2024 でした。 このあたりは昨年の Advent Calendar でも書いております。

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カンファレンススポンサーの競争が激化

2025 になると、ブースの訴求を "エンジニアの技術自慢" に変化させたことで、興味・関心層の蓄積がさらに進んだほか、試行錯誤の結果、ようやく "応募" に繋がる事例が増えてきました。 銀の弾丸を探った時期もありましたが、愚直に、継続的にタッチポイントを作る、ということに尽きます。

一方で、今年、顕在化した課題が "カンファレンススポンサーの競争激化" です。 特に Go / SRE 方面では抽選に外れに外れ、昨年一つとしてブース出展することができず、興味・関心を惹くことすらできていません。 これは現在進行形で解決を図っているところですが、カンファレンススポンサーだけではなく、もう一つの主軸を作ることが必要と考えています。

「教訓 4: 採用広報から "応募" に繋げる銀の弾丸はない。

2026 もう一段高い山へ

これまでのカンファレンススポンサーの歴史を紐解くと、 "巨人の肩の上に立つ" ということをしながら今に至っている、ということがわかりますね。 初期の兼任体制が基礎を築いた上で、専任広報が道筋を示し、そしていま道を切り拓くことを行っています。

アンドパッドも引き続き、これまでの成長に胡座をかくこと無く、道を切り拓いています。 2025 も ANDPAD早受取ANDPAD遠隔臨場 など 5 つのプロダクトをリリースし、対象業務を増やしながら、 ゼネコン・サブコン領域での導入企業数 増加率 No.1 を獲得 し、建築・建設業界の浸透をさらに深めています。 また従来の施工や管理業務ではない "求人・転職" のサービス ビルダーワーク (Builder Work) も提供開始 しました。

さらに 2026 以降は、もう一段ギアが上がります。 新たに道筋を見つけながら切り拓くというフェーズに入ります。 つまり採用広報ももう一段ギアを上げて、これまでの "認知・興味" の道筋ではないところを切り拓く施策が求められています。 そうすると、採用広報専任が私一人ではもう回りません。

「このビッグウェーブに乗るしかない!」と思ってしまった方は、ぜひ 採用広報(採用マーケティング) のページをご覧ください ! そしてカジュアル面談や応募いただき、 "ギアが上がる" 興奮を感じてください。 お待ちしております !

*1:オーガナイザーの ぷぽ がオススメする Kaigi on Rails の楽しみ方 | ANDPAD_Engineers という記事でも「福岡で開催された RubyKaigi 2019 のときに、スポンサー LT をしていたことは記憶に残っていて、その後、縁あってカジュアル面談をした」と触れられています

*2:伝聞調なのはアルマさんと私が直接、引き継ぎをした訳ではないからなのでした