ANDPAD プロダクト開発の 3 つの変化

この記事は ANDPAD Advent Calendar 2024 25日目の記事です。

アンドパッド代表の稲田です。

2024 年は業績・組織ともに力強く成長をすることができました。 お客様、全社員に深く感謝申し上げます。 そんな弊社における現在のプロダクトの 3 つの変化について記述してみようと思います。

誰に向けた記事?

PdM、エンジニア、新規事業担当者向けに、アンドパッドの製品開発環境における打席の多さやユニークな部分をお届けしたいと思います。

アンドパッドって?

ANDPAD は、日本では大きめな VerticalSaaS (以降 VSaaS ) であり、従業員数が約 700 人のスタートアップです。 VSaaS とは特定の業界に特化している SaaS のことで、顧客のニーズに深く応えることができる点が醍醐味です。 アンドパッドでは、建築・建設業界をさらにニッチ市場に分解し、それぞれの市場に向けて、汎用型 SaaS よりも深い専門知識とニーズへの理解を提供します。


また、ソフトウェアに閉じない、サービスの多様化も VSaaS の特徴です。 弊社でも、特定市場で一定のシェアを獲得して以降は、 FinTech・AI だけでなく、コンサルティング、 BPO などへの展開により、プラットフォーム化が進んでいます。 現場貢献から経営貢献へサービスの幅が広がることはとてもエキサイティングなことです。 そこから更に、 1 顧客を超えた業界へのデータ示唆、災害対応での活用、省庁や地方自治体と連携した活動へと、幅が広がって行きました。 一言で言えば、建築・建設業界に特化した DX プラットフォームです。

andpad.jp

その中でプロダクト戦略における 3 つの変化をこれからご紹介します。

1. 経営ソリューションへの進化

VSaaS の雄である Toast は、飲食業界向けのクラウド型プラットフォームで、レストラン経営に必要なあらゆるツールを統合的に提供する SaaS です。必要な業務アプリケーション群をシンプルかつ滑らかな UX で提供し、その結果、経営が期待する高度なデータ分析機能を提供しているのでしょう。

アンドパッドは、顧客の業務バリューチェーンに合わせて、順次プロダクトを展開し、 ALL in ONE で利用できるソリューション群を構築してきました。 こう書くとカッコ良いですが、実際には進める順序とタイミングが重要で、そしてそれなりの年月が必要です。 正しく表現すると、目の前の現場ユーザの困りごとを、一つ一つ一生懸命ソフトウェアで解決していたら、経営に資する現場データが蓄積され、経営者と会話ができるようになりました。

そして、お客様のコストダウンだけではなく、売上向上に貢献するソリューションを広げるチャンスも見えてきました。

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プロダクト戦略の進化としては、「ユーザに向き合って業務アプリを作る」経験に加えて、「お客様企業の重要な会議で求められるデータとはなにか。」から逆算した機能・ UX の見直しが図られています。

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各業務アプリケーション利用促進と、統合的なデータ基盤、そのデータを経営での価値に転換するというサイクルを議論し、進化させることは、 PdM やエンジニアの腕の見せ所となります。

2. 受発注トランザクションが加速度的な拡大をしている

下のプレスリリースにある通り、受発注のトランザクションが 2 年でおよそ 6 倍になっています。 実数は書けなくて申し訳ないのですが、すでに日本の建築・建設業界有数の受発注プラットフォームだと思われます。 見積・発注・請求周りの煩わしいペーパープロセスが、どこでもいつでもスマホで完結する UX は劇的な変化を生み出しました。 これまでパソコンを触ったことのなく手書き請求書に馴染みがある方も含めてサクセスできている点が特異です。 また、ドメイン特有の法律にも準拠が必要です。

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我々の受発注が拡大する理由は、 2 つあります。まず 1 つ目は、ファーストプロダクトが、チャットを中心としたコミュニケーションアプリである点です。 社内外問わず、現場グループが利用するコミュニケーションインフラを構築し、その上に受発注・ワークフロー機能を提供する点はユニークかなと思っています。 高い DAU の上で、垂直的に利用度の高いワークフローシステムを構築できます。

2 つ目は、現場の DX と、企業内の DX を連動して課題を解決する点です。 「工程管理」と「原価管理」と「受発注」の連動性はまさにその一例です。 複数企業製品を連携するケースは、UXが悪かったり、イレギュラーケース対応ができず、絵に描いた餅になりやすい部分です。

当然データを活用した FinTech サービスのチャレンジも進んでいます。 ここら辺はやることが沢山ありますが、 SaaS + FinTech の経験や好奇心を持った事業開発者やエンジニアにはとても良いタイミングかと思います。 社内外で常に仲間を集めています。

3. AI 実装のプロダクト開発が加速しています

Andreessen Horowitzs さんの記事で、 VSaaS とAI の可能性について触れられています。

AI is unlocking a new era for vertical SaaS. In functions like marketing, sales, customer service, and finance, AI will augment, automate away, or in some cases, replace, many of the rote tasks currently performed by people, allowing VSaaS companies to offer even more with their software. In doing this, they will not only increase revenue per customer (2-10x), but — as we will see in a follow-up post — will open opportunities in markets previously deemed too small, or not cost efficient enough to acquire customers.

AI は垂直型 SaaS の新時代を切り開こうとしている。 マーケティング、営業、カスタマーサービス、財務などの機能において、AI は現在人が行っている多くの単純作業を補強し、自動化し、場合によっては代替する。 そうすることで、VSaaS 企業は顧客一人当たりの収益を( 2 ~ 10 倍に)増加させるだけでなく、次の記事で紹介するように、これまでは顧客獲得には規模が小さすぎたり、コスト効率が悪かったりすると考えられていた市場にチャンスを開くことができる。

Vertical SaaS: Now with AI Inside | Andreessen Horowitz より引用。抄訳)

我々アンドパッドでも、この流れを感じる 2024 年となりました。というのも、今年ヒットした機能が AI inside な機能なのです。 Andreessen Horowitzs さんの記事の冒頭にもある通り、 "tasks previously too complex for software” な作業を AI が代替する機能です。

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顧客デモや操作説明会でも、おぉ!と歓声が上がることが多く、いかに現場でストレスな作業だったのだろうと気付かされることとなりました。

VSaaS における AI・LLM の活用は、業界特有の課題を解決し、効率性や生産性を大幅に向上させる可能性があります。今後はアプリケーションに蓄積されるデータを活用し、業界特有の課題を解決するAIモデルの活用を促進していきます。

 

いかがだったでしょうか。

3 つの進化に触れましたが、それ以外にも多くのチャレンジがあります。より経営にダイレクトな価値提供ができる VSaaS の中で、機会が多く、猛々しくチャレンジする PdM やエンジニアの仲間を求めています。いつでもお待ちしています!

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