サステナブルなマネージャー勉強会をコンセプトから企画してみた!〜社内EM勉強会を振り返る〜

こんにちは。荒瀧と申します。
アンドパッドでEM(エンジニアリングマネージャー)を担当しています。

当ブログでは前から「ANDPAD TECH TALK」というポッドキャストのモデレーターをやっている人として何度か記事を投稿してきておりますが、今回はEMとしての活動の一環をご紹介したいと思います。

EM向けの社内勉強会を主催しました

たとえば、上記スクリーンショットでは下記のようなテーマで勉強会を行なっています。

  • 担当チーム紹介
  • 1on1事例共有会
  • カジュアル面談の知見共有ディスカッション

その他にもさまざまなテーマの勉強会が企画実施され、EM間のコンテキストの理解が深まり、回を重ねるごとに答えを出すことが難しいテーマについても深掘りされる機会が増えました。

今回は、マネージャー同士の勉強会ということで、内容の充実と継続力を持たせるために企画と運営で工夫した点を紹介したいと思います。

EM向けの社内勉強会を企画した背景

アンドパッドのEMは、自分の経験や持てる武器を総動員して、あらゆることを行える裁量を与えられています。

たとえば、これからの組織や事業の価値創造に必要な役割や能力があるとすれば、それを自分で埋めるのでも、採用によって埋めるのでも、異動を実現して埋めるのでも、チームで学習の取り組みを正式化して皆で醸成していくのでも、どう実現するかは自身で決めます。
また、自分の行動についても、自分でコードを書くのも、プロセスマネジメントに染み出していくのも、ピープルマネジメントに注力するのも、そのほとんどを選択肢に含めることが可能です。

ですから、アンドパッドのEMが組織にどうコミットするかを考えるためには、「何をする、どうやってやる」といったHow・Whatの切り口だけでは不十分で、何より「なぜ、今、そうするのか」すなわち、何よりWhyをきちんと言語化することが重要になります。

ここ数年で規模が大幅に拡大しているアンドパッドですが、当然ながらマネジメント組織もまた日々拡大しています。
深い洞察を伴ったWhyを持つには、置かれている状況や歴史に対する深いコンテキストが求められるわけですが、組織が拡大していくほど認知負荷は増大し、全てを一次情報として把握し続けることは物理的に困難になっていきますので、EM間のコラボレーションの場を積極的に作ることは重要だろうと考えました。

そこで(命名にまったく捻りがなかったのを少し後悔していますが)「EM勉強会」を主催し、半年ほど継続してみることにしました。

EM勉強会のコンセプト

この勉強会の参加対象は、その名の通りEM陣となります。
メインのコンセプトは、マネージャーという職務を担っているメンバーが本当に取り扱いたいテーマを選択できることと、職務特有のリスク感に対して適切な配慮を行うことでした。

EMは、ファシリテーション、プレゼンテーションともにやり慣れている方ばかりで、継続的に社内の情報を集める行為そのものが業務の一環でもあるので、勉強会などのキャッチアップに抵抗がないことは確実に想像できました。
なので、ソフト面での参加誘致 - つまり参加を促すために強く必要性を訴えかけるようなテコ入れは一切不要と考えました。

一方で、コンテキストスイッチが多く、スケジュールの空きが少ないメンバーがほとんどなので、物理的に参加したくてもできないケースは容易に想像できます。なので、ハード面の手軽さ - 事前準備がない場合でも参加が可能であり、さらに当日不参加であっても非同期でキャッチアップが可能であることが必要だと考えました。

これらに配慮し、具体的に3つのポイントを重要視しました。

1. 気軽に関われること。

  • 任意参加
  • 外からも開催テーマの在庫や次回予定を非同期に確認可能
  • 録画をすることで後でアーカイブを参照できる
  • 司会、発表を担うことは完全任意で、全員ギャラリーでもOK

この場は純粋なナレッジ共有の場として楽しんで欲しかったので、参加しないと誰かに迷惑がかかりそう・損失がありそう、といった負担を作らないように意識しました。

さらに、参加せずとも事後にキャッチアップを可能とし、主催者を明示的に置く(自分がやる)ことで、テーマや発表者、司会者がゼロの会があっても、主催がカバーして何らかのコンテンツを持ってくるのでOKという約束の元で運営を開始しました。

2. 言葉選びに思考リソースを奪われない空間で行われること。

  • EMのみがいる空間で開催
  • テーマリスト、議事録、録画などはメンバーのみ参照可能な場所で実施

EMはさまざまな情報を適切に伝達することも職務の一つであり、接点を持つメンバーが多いので、職務上、会話をする相手に対して自分はどういう立場なのか、背景を共有できているかなどを考えて発言することが多く、配慮をしながら言葉を選んでいます。
なので、そこの配慮に思考のリソースを多く取る必要がないように、不特定多数に聞かれる・話しかける機会が発生する可能性を避け、EMのみがいる空間でやってみることにしました。

3. 参加スタンスを自由に選択可能であること。

  • 取り扱いたいテーマを自分の参加スタンスを棚に上げて出す

参加するからには必ず何かやらねばならない!といった義務感はなるべく減らしたく、個人が欲するスタンスを自由に取れる方向を目指しました。

インプットをしたかったり、自分の関心ごとで意見や感想を述べて反応を見るにとどめたいメンバーは、ギャラリーが適切です。
ノウハウを紹介したいという気持ちがある方には、発表者が適切です。
参加者の皆と特定のテーマで目線を合わせたり深い議論を引き出したい人には、司会者が適切です。

こういったスタンスを柔軟に選べるかたちで参加してほしかったので、「テーマを出したら、そのテーマについて主体にならなければならない」というイメージを持たれないよう
あえてそこは自由とし、取り上げたいテーマと、それの発表担当or司会の担当は必ず分けて考えられるようにしました。

序盤の立ち上がり

※録画がギャラリー視点にできておらずワイワイ感がお伝えできていませんが、楽しく会話しています!

初回(introuction)

EM視点での組織の状況や、勉強会のコンセプトをプレゼンテーション

テーマ出し

テーマを出しつつ、自分なりに話してみたいことがある・この人の話を聞いてみたいといったことを分けて、適度に自分のことを棚にあげられるようにしつつ、自由にディスカッション。 色々と出てきました

しばらくやってみて振り返り

1時間枠のちょうどいい時間配分は、1プレゼン、1ディスカッション

テーマ選択は、1つ発表系のプレゼンテーション(10-15min程度) + 1ディスカッション(30min程度) だとかなりちょうどよく、自然とこの構成になる傾向があります。

プレゼンは社外事例紹介や、自チーム・機能の紹介が鉄板の傾向

知見豊富なメンバーから社外事例の紹介をいただくような王道のコンテンツをやってみたところ、思ったより新たな発見が多かったです。参加者が経験豊富なメンバーというのもあり「知見ですね」だけでは終わらず「意外とうちコレほとんどできてるな」とか「自分の経験ではどうだった」とか「当時には無い条件だが、アンドパッドはこういう特長がある」など、現状のアンドパッドを主語に情報交換ができて面白いです。 また、社歴が浅かったりコミュニケーションの幅を広げたいEMにとっては、他チームの雰囲気や活躍されているメンバーにとても関心が高いため、プロダクトの成長の歩みやメンバーの関わりが語られるプレゼンテーションは一貫して好評でした。

ディスカッションは仮説交換で盛り上がる

正解が見えづらく、各々の仮説を共有するようなテーマが選ばれる傾向があり、ディスカッションは盛り上がります。 ドキュメント1枚を議事録にして、画面投影しながら各自が話したことをメモするような運用をしてみたところ、色々としゃべれました。 面談・面接や1on1など、コミュニケーションに関する話題では共感や新しい発見が多い傾向がありました。

まとめ

今回の取り組みでは、EM同士の状況やプロジェクトの把握、お互いの強み、秘伝のタレのようなテクニックなどの紹介も行われ、相互リスペクトの醸成に貢献できたと思っています。

サステナブルな勉強会を運用するためには、その意義以上に、参加者が誰であるかと、その参加者にとってどうすれば関わりやすくできるかが重要だと痛感します。 この記事で紹介したのはEMにフォーカスしたコンセプトでしたが、忙しいメンバーばかりであっても、工夫をすれば有益な勉強会の場は作れるというところで、社内の情報のアラインメントに関心がある方にとって少しでも参考になれば幸いです。

さいごに

アンドパッドには、チームの開発体験について本気で考えアクションするEMというロールが手厚く編成され、アサインされています。 マネジメントを極めたい方、技術に集中したい方、チームで研鑽していきたい方、さまざまな方に全力で取り組んでいただけるステージがありますので、他の記事も併せて読んでいただき、興味を持っていただけましたら、ぜひ我々とカジュアル面談をしましょう! 日々本気で組織づくりに打ち込んでいるマネージャー陣が、現状の弊社のリアルを語らせていただきます。

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