社内システム開発のPMからアンドパッドのPdMへ

はじめに

こんにちは、PdMの永塚です。早いものでアンドパッドに入社してから2年が経過しました。

私は前職では、社内向けの業務システム開発に携わるPMをしていました。営業やカスタマーサポートといった社内メンバーが利用するシステムの新規立ち上げや、基幹システムとの連携などを担当し、現場へのヒアリングを通じて業務の見直しや要件定義を行う日々を送っていました。

現在は、アンドパッドのPdMとして多くのお客様に向けたプロダクトの開発を推進しています。

この2年間、全く異なる環境でプロダクトに向き合う中で、「ユーザーの業務を理解し、あるべき姿を設計する」という本質は共通していながらも、業務の中で求められる思考の質や意思決定の難しさには大きな違いがあると感じるようになりました。

今回は、社内システム開発のPMからアンドパッドのPdMへと転身した私が実感した、大きな違いを2つ共有したいと思います。

前職の私と同じように、社内システム開発の経験を活かして次のキャリアを模索している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

1. 【要件定義】プロダクトをどう形にしていくか

要件定義において「理想の業務フローを描く」アプローチは共通していますが、その理想を具体的なシステムや機能に落とし込むプロセスにおいて、向き合うべき前提条件や複雑さの性質が異なります。

前職(社内システム開発)

前職の社内システム開発では、もちろん自社の業務だけを盲目的にシステム化していたわけではありません。「業界における一般論は何か」「本来あるべき理想の業務フローは何か」を常に検討し、標準的な最適解を模索していました。

一方で、実務においては独自の組織形態、既存システムとの連携制約、現場で長年積み上げられてきた運用のローカルルールなど、無視できない固有の諸条件が存在します。

こうした複雑に絡み合う固有の制約を一つひとつ紐解き、今の組織にとって最も機能する着地点を見出す。「本来どうあるべきか」という理想を描きながらも、目の前の現実的な制約をクリアし、現場で本当にワークする仕組みへと落とし込んでいく。自分たちの手で社内の業務を裏から支え、最適化していく面白さが社内システム開発にはありました。

アンドパッド

一方で、アンドパッドに転職して向き合うことになったSaaSの世界は、前提となる条件の広がりがガラリと変わりました。

対象は単一の組織ではなく、同じ建設業界に属する無数の企業です。一言で「建設」と言っても、元請、協力会社、職人さん、資材メーカーなど、本当に多種多様な業種の人たちが複雑に絡み合って一つの現場が成り立っています。さらに大企業から町の工務店さんまで、企業規模によっても業務フローや管理の細かさは全く異なります。

求められるのは、個別の事象やご要望をそのまま機能にするのではなく、「なぜその業務が必要なのか」という背景を一段上のレイヤーで捉え直すことです。バラバラに見える各社の要望の奥にある『本質的な課題』を見極め、異なる業種や規模であっても『汎用的なユースケース』を設計して、プロダクトの機能に落とし込んでいく。この「多様性のなかから共通の構造を見出し共通解を導き出す」プロセスこそが、SaaS開発の難しさであり面白いところだと感じています。

2. 【合意の形成】関係者を巻き込み、どう意思決定していくか

要求を要件に落とし込み、さらにリリースに向けて合意を作っていくプロセスでも以下のような違いがありました。

前職(社内システム開発)

社内システム開発における主なステークホルダーは、現場のユーザーやその責任者です。 基本的には同じ会社のメンバーであり、目指すべきKPIや事業目標、会社としての大きな方向性を最初から共有しています。

もちろん、部署や立場ごとの「利害調整」は発生します。しかし、「どうすれば今の業務がより良くなるか」そして「本来の事業目標が達成されるか」という同じゴールに向かって膝を突き合わせ、一緒に議論して決めていくことができました。同じ船に乗る仲間として、関係者が納得できる着地点を泥臭く見出していきました。

アンドパッド

一方で、アンドパッドに転職してからは、合意形成に関わるメンバーの広がりと、求められる意思決定の性質が大きく変わりました。

まず向き合うべきユーザー・クライアントは、業種や企業の規模、さらには元請・協力会社といった現場での立ち位置によって、置かれた状況が全く異なります。そのため、それぞれの立場から上がる要望も多種多様であり、すべての要望をそのまま反映させた一律の着地点を見出すことはできません。

さらに、プロダクトが成長するにつれて寄せられる要望の数は膨大になり、PdMが一人ですべてのユーザーやクライアントに直接ヒアリングを行うことは物理的に不可能です。限られた時間の中で、いかにして多様な現場の解像度を上げていくか――。そのために不可欠なのが、社内の様々なプロフェッショナルとの協働です。

例えば、最も密に協働するパートナーであるPMMとは、営業やカスタマーサクセスを巻き込んだ顧客ヒアリングを通じて「現場のどのようなユーザーに対して、どんな価値を提供していくべきか」「そして、その提供できる価値を最大化させるために何が必要か」を一緒に突き詰めていきます。 また、日々ユーザーと直接向き合っているカスタマーサクセスからは、現場の目線に立ったフィードバックをもらいます。新機能によって直接恩恵を受けるユーザーの体験を考えるのはもちろんですが、それに加えて、そのリリースが「プロダクトを利用するすべてのユーザーの日常の運用」にどんな影響や変化をもたらすかという、全方位的な視点での議論を重ねます。

このように膨大なユーザーの要望や、社内の各メンバーが持つ現場の知見を集約し、チーム一丸となって「現場の解像度」を徹底的に上げていくこと。そしてその高い解像度をベースに、最終的に私たちがどのようなプロダクトを作っていくべきかを決めることが現在の主要な仕事です。この意思決定が難しくもありますが、アンドパッドのPdMのやりがいだと思います。

おわりに

私自身、転職してからのこの2年間は、向き合う世界の広さと意思決定の性質の変化に、日々頭を悩ませながらの挑戦でした。

前職で培った「ユーザーの業務課題と向き合い、最適解を形にしていく経験」は今も活きています。目の前のユーザーに向き合ってきた土台があるからこそ、アンドパッドで出会う多様な顧客の声を聞いたときにも、その裏にある「本当の困りごと」を捉えることができます。

一方で、社内システム開発の時には経験できなかった「膨大な要望と多角的な視点の中から、チームの力を結集してプロダクトの針路を決める」という環境は、難しさはもちろんありますが、それ以上にPdMとしての視座を大きく広げてくれる場だと感じています。

もし興味を持っていただけたなら一度お話しできたら嬉しいです!

hrmos.co