こんにちは、Ruby コミッタの柴田です。RubyKaigi 2026 in 函館から1ヶ月が経ち、自宅のガーデニングではバラのシーズンが一段落して梅雨に入る前に剪定を...という手入れに移ったところです。
今回はRubyKaigi 2026 2日目の夜にアンドパッドが運営として関わったコード懇親会 (Code Party) と、私がホストを担当した RubyGems/Bundler チームから生まれた成果をまとめます。
コード懇親会の進め方
コード懇親会はクリアコードの須藤さんが提唱しているコンセプトで、お酒の代わりにコードで懇親する形式の懇親会です。今回はアンドパッドが函館市民会館で会場の設営とお弁当など運営を担当しました。


今回からテーマを事前固定にしました。dRuby (咳さん)、Ruby 本体 (前田さん)、RubyGems/Bundler (私)、mruby/PicoRuby、Ruby × Rust (udzura さん) の5チームです。当日テーマを決める方式だと初心者が入りづらいので、ホストが事前に取り組めるイシューと環境構築の道筋を用意しておき、来てすぐコードを書ける状態にする狙いがありました。
RubyGems/Bundler チームの様子
私のテーブルには9名が集まり、多くは ruby/rubygems を fork してテストをどう実行するのか、という手探りなところからのスタートでした。最初に簡単に自己紹介をしてもらい取り組むイシューを選んだ後に、私が席を回りながら困ったことがないかの相談をしていました。普段使っているのに中身は読んだことがない、という状態から、当日中に PR を1本送れるところまで持っていくのが目標です。

OSS を使っていてメンテナと隣で話しながらコードを書ける機会は普段そう多くないと思います。参加者のフィードバックでも「issue に着手すべきか迷っていたところを直接相談できた」(nissyi-gh さん) という声があり、メンテナを物理的に隣に置くことの効果はやはり大きいと感じました。フィードバックは andpad-dev/code-party に全員分が公開されています。
なお私は RubyKaigi 2026 の期間中に 4.0.11 をリリースしようと作業をしていたのですが、どうしても時間をかけて取り組む必要があるテストの失敗に遭遇してしまい、コード懇親会当日のリリースは断念しました。「リリースを全力で自動化している」が Day 3 での私の発表テーマだったので、まだまだやることはある、ということを実感してしまいました。
その日の PR がリリースに乗るまで
当日 RubyGems/Bundler チームから出た PR のうち、すでに公式リリースに含まれたものを紹介します。
rubygems/guides (当日マージ)
- rubygems/guides#458 (Yuhi-Sato さん): Gemfile ドキュメントの「
masterがデフォルトブランチ」記述を修正。 - rubygems/guides#459 (otsuboa さん): ガイドのコードブロックにシンタックスハイライトを追加。
Bundler 4.0.11 (4月30日リリース)
- ruby/rubygems#9500 (nissyi-gh さん): newgem テンプレートの gem ガイド URL を現行の rubygems.org に更新。当日 PR、翌日マージ。
Bundler 4.0.12 (5月20日リリース)
- ruby/rubygems#9502 (kurotaky さん):
Bundler::LockfileParserが lockfile 以外の文字列を黙って受け取る挙動に deprecation 警告とvalid?を追加。#8932 の解消。 - ruby/rubygems#9505 (willnet さん):
bundle config getが未設定キーで exit status 0 を返していたのを 1 に修正。#3215 の解消。
当日から1週間で 4.0.11、1ヶ月以内に 4.0.12 に乗っています。長年保留状態だった issue (#8932, #3215) が一晩で片付いたのは、メンテナがその場でレビューと方針判断を返せたからで、これがコード懇親会の最大の利点です。
エコシステムはこの積み上げでできている
RubyGems と Bundler のコードベースは、私のような主担当メンテナが書いたものよりも、こうした「気になったから直す人」の PR が積み上がって今の形になっています。普段は GitHub 越しのレビューで進むこのループを、年に一度、物理的に同じ場所で回す機会がコード懇親会です。
参加者のフィードバックには「これからは気になったことがあれば issue や PR を送れそう」という声が複数ありました。当日リリースに乗った PR より、ここで contributor の母集団が一段広がったことのほうが、エコシステムへの貢献としては大きいと思っています。
おわりに
グループのホストを引き受けてくださった皆さん、参加者の皆さん、会場準備に動いてくれたアンドパッドの同僚たちにお礼を伝えます。RubyKaigi に毎年行っているけど懇親会では話すきっかけがなかった、という方は、来年もたぶん開催するコード懇親会に参加してください。手元の OSS で気になっていることをひとつ持ってきてもらえれば、その場で pull request の作成、または Merge まで持っていけるかもしれません。
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