はじめに
はじめまして。プロダクトマネージャーの岡部です。
昨年3月に入社し、ANDPADの開発に従事しています。
前職以前は、ゲーム業界で主にエンジニア、プロジェクトマネジメントに従事していて、プロダクトマネージャーとしては未経験で入社しました。
アンドパッドでのプロダクトマネージャーとしての仕事は非常に多岐にわたるのですが、人に説明して何かを伝えるという場面が非常に多いです。例えば、ロードマップ・ビジョンの説明、要件定義・仕様の説明、背景の説明、お客様への説明などが挙げられます。
前職以前も、もちろん人に伝えるということは重要だったのですが、プロダクトマネージャーとしてはよりそれが求められます。また、コロナ禍で対面でのコミュニケーションがとりにくく、言葉の一つ一つ、書く文字の一つ一つを大事にしないと、自分の思いとは異なる風に伝わってしまうと感じていました。
そのため、入社後数カ月して、もっとこの力を高めたいと思い、伝えるための様々なトレーニングを行っています。
今回はその中でも、語彙力に絞って紹介していきたいと思います。
アリストテレスの3つの要素
なぜ、今回語彙力に絞ってトレーニングを紹介するのかには理由があります。
説明して伝えるというのは、相手に納得感を持ってもらったり、相手を動かす、もしくは物事を動かすというのがゴールになります。
このゴールを達成するために、まずは昔からあるアリストテレスの3つの要素から考えてみたいと思います。
(アリストテレスの3つの要素については、色々なところで論じられているので、検索してみると面白いかと思います。参考に面白かった記事を載せておきます。)
swingroot.com
アリストテレスの3つの要素というのは、「(論理)ロゴス」、「(情熱・共感)パトス」、「(信頼)エトス」で構成されています。この3つの要素が揃うと、人を動かす大きな力になると言われています。この3つの要素と今回の語彙力がどう関わってくるかといいますと、全ての要素に関わってきます。
例えば、「ロゴス」は論理なのですが、論理で思い浮かぶのは、ロジカル、論理的、といったワードが思い浮かぶかと思います。論理的に話をする際に、重要になってくるのは語彙力になります。何かを説明しているとき、適切な語彙が選択できていないと、論理のつながりが崩壊してしまい、聞いている人の理解度が下がってしまうことになります。また、説明している際には、難しい言葉を使っても伝わらないと意味がないので、言い換えをしたりケースもあります。こういったシチュエーションでも語彙力があると、より伝わりやすくなると思います。
「パトス」で、共感を得たり、感情移入してもらうためには、特に言葉のチョイスは重要になるだろうと想像できます。人を動かすための情熱的な言葉を選択できるためには、やはり語彙力があるとよさそうです。
最後の「エトス」ですが、信頼を得るために、他の二つ以上に適切な言葉の選択が重要になってきそうです。例えば、何かを説明しているときや商談しているとき、言葉の意味を誤解したまま話をしてしまうと、「こいつ大丈夫かな」と印象を持たれてしまい、信頼されなくなってしまうことが想像できます。言葉を誤用してしまうといったケースも語彙力があると回避できそうです。
理解語彙と使用語彙について
そもそも語彙力とはなんでしょうか?
語彙力アップトレーニングの参考にしている石黒圭さんの、「語彙力を鍛える~量と質を高めるトレーニング~」によると、語彙力とは、
語彙力=語彙の量(豊富な語彙知識)x語彙の質(精度の高い語彙運用)
と定義されています(はじめにより)。
この本には、語彙について理解語彙と使用語彙という二つのレベルに分けられています。理解語彙というのは、読んだり聞いたりしたときに、イメージできたり、話の流れの中で意味を捉えたりすることができますが、自分からアウトプットを行うときには使用できない語彙のことです。使用語彙というのは、話したり書いたりするなどアウトプットするときに使えるレベルの語となります。なんでもそうですが、理解するよりも使用できるようになるまでの方が難易度が高いため、語彙についても、下記の不等号式が成り立ちます。
理解語彙>使用語彙
さらにいうと、語彙の習得の順番として、知らない状態→理解語彙→使用語彙となっていくため、先ほどの定義された語彙力とは多くの語彙が使用語彙のレベルに到達している状態のことをことなのではないかと思います。
多くの語彙が使用語彙のレベルにしていくために、先ほど挙げた本を参考に行っているトレーニングを紹介していきます。
語彙力アップトレーニング
使用語彙にするためには、まずは理解語彙を増やす必要があります。
先ほどの本には、そのための有力な方法としては「多読」とあります。「多読」は大量にインプットできるため、おすすめされているのだと思います。「多読」には、小説、ライトノベルなども含まれるでしょうし、個人的には漫画なども含まれると考えます。私は、小さい頃は漫画ばかり読んでいて、色々な言葉を漫画から学んだ気がします。インプットという意味では、映画、ドラマ、ゲームとかも対象になるかと思います。
次に紹介するトレーニングでは、語彙をつながりを意識していきます。既に使用できる語彙とのつながりで覚えていくと、語彙を増やしやすくなります。そのための方法として、「類義語」「対義語」「上位語・下位語」から考えるといったトレーニングが11個紹介されています。その中でも、「語種」を考えるトレーニングが画期的だなと思ったので、こちらを紹介していきます。
日本語は、漢字だと訓読み、音読みがあるように、日本古来の固有語である和語(大和言葉)、中国から渡ってきた漢語、カタカナで表される外来語という「語種」に分けることができます。すべての語ではないですが、ある語の類語をこれらの和・漢・外の三通りで表すことができます。日常的に出会った言葉を、これらの三通りで表すことを試みるというトレーニング方法です。
例として、「ラップアップ」という言葉を考えてみます。私は、アンドパッドに来るまで、この言葉はほぼ使ったことがなくて、何のことだろうと最初思ったことがあります。「ラップアップ」は外来語なので、これらを和・漢に変換すると、どうなるでしょうか?和語の場合は「まとめる」、漢語の場合は「要約」という語に変換すると、理解しやすいと思います。もちろん、ラップアップと聞いて、上記とはニュアンスが違うと感じるという人もいます。
この語種トレーニングですが、やってみると意外と難しくて、二つしか出ないということもよくあります。また、例に出したようにニュアンスが異なることもあったりします。ただ、やっていくことが重要で、気になるものがあったら、都度調べればいくと面白いと思います。
このトレーニングは、理解語彙を増やすものではありますが、その理解語彙を変換していくのは使用語彙としても習得できるのではと個人的には思っています。
まとめ
私自身、このトレーニングを始めて、3カ月ぐらいなのでまだまだなのですが、下記の変化がありました。
・資料作成などの時間が短縮した
資料を作成している時、slack等のDMで伝える時など、少しではありますが時間が短縮しました。
・説明するときに、「えーっと」と言う回数が減った
なくなったわけではないですが、説明するときに「えーっと」という回数が減りました。語彙、言葉の選択のスピードが上がっていると感じています。
まだまだ小さい変化なのですが、継続していくことで、さらにどう変化するか、どこかでまた報告できたらと思います。
さいごに
アンドパッドでは一緒に働く仲間を募集しています。プロダクトマネージャーの仕事は非常にチャレンジングですが、プロダクトも自分も成長させる機会が多いです。ご興味ある方のご応募をおまちしております!